COLUMNE

天主堂の陰で

date created : 2024.8.14

white by : doukin

1980年代に製造されたエテルナ。この時代らしい、ドルフィン針とインデックスなしの文字盤、ミラネーゼブレスレットとダイヤモンドの組み合わせのエテルナは、珍しいシェイプのケースとホワイトオニキスの造形によって異彩を放っている。

そこに感じられるのはまるでスタンレー・ホーが全てを支配していた時代のマカオのようなきらびやかさだ。

モナコ的な時計も、ラスベガス的な時計も、あるいはピアリッツ的な時計も存在する。だが、欲望によってきらめきながらも、ふと東洋的な落ち着きを見せるような表情、つまりマカオ的な時計は珍しい。

外に魅力を振りまきながらも、最も向き合うべきなのは自らのインスピレーションだ。逃避の最後にあるのは気付きなのだ。こころの内から湧き上がる感情と同様、このエテルナも無視しがたい。