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2024.04.20 - 2024.05.27

誉田屋源兵衛

item着物・浴衣・帯

【誉田屋源兵衛 (こんだやげんべい)】

会期:2024/04/20(sat) – 05/07(tue)

1738年創業、つまり286年の歴史を誇る京都の帯匠、【誉田屋源兵衛】の、帯と着物と浴衣の祭典

誉田屋の十代目、山口源兵衛氏は稀代の帯匠、生きる伝説だ

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傾く(かぶく)という言葉をご存知だろうか

1500年代後期の桃山時代
傾奇者(かぶきもの)と呼ばれた男たちがいた

茶道や和歌、骨董品などを好み文化的な生き方を志向する者を数寄者(すきしゃ)と呼ぶが、数寄者よりさらに数寄に傾いた者のことだ

女性物の派手な着物をマントのように羽織ったり

袴に動物の毛皮をはぎあわせたり

異風を好み、派手な身なりをして、常識を逸脱した行動に走る者たち

他にも天鵞絨(ビロード)の襟や立髪や大髭、大額、鬢きり、茶筅髪、大太刀(普通は太刀を手挟む)や長脇差、朱鞘、大鍔、大煙管などの異形・異様な風体が「かぶきたるさま」として流行した

傾奇者たちは、乱暴・狼藉を働く無法者として嫌われつつ、一方ではその男伊達な生き方が共感と賞賛を得てもいた

1600年代の江戸時代
泰平の世を築くため、暴れる傾奇者の牙を抜くことが肝要と考えた徳川家康は、着物の文様や派手な色、派手な着方を禁じ、それが実際に天下泰平のために奏功した

これは服が、着る者の生き方をも変えるチカラがあるということの証左だ

山口源兵衛氏の魂は、桃山時代を生きている

毎日が殺し合いだった時代の、血の濃い生きざまそのものをカタチにせんとするモノづくりを志向する

誉田屋源兵衛は、超絶技巧の帯を扱う帯匠でありながら決して保守的でなく

傾奇者のために作り、そしてみずからが正真正銘の由緒正しい傾奇者

なんと見事にロックでパンクでヒップホップなのだろうか

ぼくらは、現存する日本最古のストリートスタイルをここに見つけた

date created : 2024.7.1